バランスが悪くて何が悪い!『コズミックエンカウンター』とマルチゲームの話

最近になってふとボードゲームの「コズミックエンカウンター」のことをネットで調べたくなってググってみたんだけども、そしたらなんと今年の9月にそれの日本語版が販売されていたということを知って驚いた。
ちょうどこのタイミングでネットで調べようと思うだなんて、なんたる僥倖か神のお導きか。


『コズミックエンカウンター』日本語版
http://www.tgiw.info/2009/09/post_706.html


も〜なんだよ、ネットの中の人〜。
こんなビッグニュースがあったなら、俺にもっと早く教えてくれっての〜。
お前らが「ラブ」をプラスするゲームの話ばっかりしてるから、こんな大ニュースを見逃すところだったじゃないかよ〜。
……あ、ちなみに俺は「ギャ」をプラスするゲームが大好きです(聞いてない)。
さらに「ラブ」をプラスするゲームの方も現在プレイ中なのです(もっと聞いてない)。


つーわけで、話は戻って「コズミックエンカウンター」。
これはボードゲームの古典的名作として知られながらも、ちょっと前までは入手がかなり困難だったゲームだ。
ちょっとアナログゲームを知る人ならば、これがトレーディングカードゲームの先駆けである「マジック・ザ・ギャザリング」の発想に大きく影響を与えたゲームだという逸話をご存知かもしれない。

このゲームは各プレイヤーがエイリアンの種族を担当して宇宙の支配をかけて戦争するというゲームなのだけども、その最大の特徴は各エイリアンが持つその特殊能力にある。
この能力がハッキリ言ってもうハチャメチャなのだ。
もうルールブレイカーどころの騒ぎじゃないわけ。
「戦闘力が強い」とか「相手が捨てたカードを拾って再利用できる」とかそんなのはまだ序の口。
「相手の手札を全部見れる」とか「相手の手札と交換できる」とか「戦闘で攻撃力の低いほうが勝てる」とか「戦闘で負けても1回巻き戻しが出来る」とか、もうムチャクチャなのにもほどがある。
こんなルールブレイカーなエイリアンを操り勝利を目指すというのがこの「コズミックエンカウンター」なのである。
そしてこのルール無用の残虐能力ぶりが「マジック・ザ・ギャザリング」の発想の元となったわけだ。うん豆知識。


……と、ここまでの話を聞いてこんな疑問を持つ人もいるんじゃないだろうか?
「そんなすごい能力持っててキャラクター間のバランス取れてるのかよ?」と。

ははは……、嫌だな〜。
そんなの取れてるわけ無いじゃないですか!
当然のように鬼強い能力もあれば、クズ能力もありますっての。


しかしここからがこの「コズミックエンカウンター」の真骨頂。
確かに二人での対戦であるならば特殊能力の強弱から発生する戦力差は絶対だ。
しかしこのゲームは多人数でプレイするマルチゲームである。
多人数でプレイする場合はその戦力差が絶対とはなり得ない。何故なら複数のプレイヤーが協力して強者をつぶすことが出来るから。

このゲームはしばしばエイリアンの特殊能力がクローズアップされることからそちらにばかり目が行きがちだけども、このゲームの真骨頂はこっちの協力と交渉の方にあったりする。……って、昔ボードゲームの偉い人が言ってたよ(逃げ)。

その特徴を強化する要素のひとつに「2人のプレイヤー間で行われる戦闘に第三者が介入できる」ってのがあって、戦闘のときに「援軍」という形で他のプレイヤーが戦力をガンガン投入できる。
これによってこのゲームをただの能力勝負じゃない深みのあるものにしているわけだ。

こういった「能力差があること前提」なマルチゲームというのは、何気にあまりない気がする。大抵は平等が前提だ。
しかしマルチゲームであるならば「協力して強者を叩く」的な発想は当然あってしかるべきなんだよな。


そーいや昔ちょっと読んだ「フェイト」とか言う作品で、登場キャラの一人が最も優れたサーヴァントである「セイバー」の使役を欲しながらも実際自分に召還できたのが「アーチャー」だったんでガッカリするシーンがあったのだけども、でもこんなのマルチゲーム的観点で言えば落ち込むようなことでも何でもなかったりするのだよな。
だって全てのゲーム参加者が「セイバーが最優」という情報を共通認識として持っているのであれば、それを利用して共闘とかできるわけじゃん。「衛宮家鏖(みなごろし)同盟」とか普通に作れるわけじゃん。

それだってーのに遠坂ときたら「セイバー」のマスターと組むとかwww
大運動会で「れいほう」と組むバカがどこにいるんだっつーの!
遠坂、お前には一生マルチゲームで勝てない呪いをかけてやろう……。




……って、話がそれた。

まあつまり「コズミックエンカウンター」それぐらい魅力的なゲームであるという話なのです、はい。
でも、実際それじゃあ買おうかなーという話になると悩んだりするのだよな。
古典的名作が完成度の高い現代ドイツボードゲームと比較すると評判ほどのものではなかったという話はよくあることだし(『タリスマン』とかー)。
「素直に『ドミニオン』でもやっておけば?」という気がしないでもない。



……つーか、ボードゲームを一緒にやる友達なんかいなくて、1年前に買った「ごきぶりポーカー」を未だ一度もプレイしないまま部屋に放置している俺に隙は無かった。終了。





関連リンク:コスミックエンカウンター紹介
http://www.os.rim.or.jp/~bqsfgame/sub235.htm